ことば置き場

音楽と映画と本と舞台の感想置き場です

ましまろのライブの話


 一番最後のライブからもう2年くらい経つというのに、未だにましまろのライブのことを結構覚えてて自分でもびびる。思い出したから、ましまろのライブの話です。でも2年続けて行ってるので、どっちのライブだったのか曖昧…なのが多く、かなりどころか全部まぜこぜで書いてます。これを見て思い出したりする方がいたら幸い。つーか私の備忘録でもあります。2年越しだけど。またCD出したりライブしたりしてくんないかなー。待ってるよ。まあみんなそれぞれ楽しそうに過ごしてるのを見てるのであんまり気にしてないのですが。

 ましまろのライブで思い出すのは、Darwinっていう仙台のライブハウスに走って向かったことがまず一つ。2年連続して行ったけど、2年とも学校終わりギリギリで急いで行って、汗だくで並んだ思い出…。この時着てった服も覚えてる。懐かしい。その向かう道で走ってる途中、アーケードで雪風がかかってたことも覚えてる。なんて懐かしい…。その時の服をこの時期に着たり、アーケードを通ると未だに鮮明に思い出します。え、2年前?3年か?経つもんだよなー。

 マーシーの歌う涙の乗車券とか、天国の扉とか、ましまろでカバーしてくれた魚ごっことか、このへんがずっと忘れられなくて。思い出すと懐かしいのか感動なのか、ちょっと泣きそうになる。魚ごっこは伸びやかな真城さんの声がとても似合ってて、いいカバーだなあってずっと思ってる。今も脳内でかけられるくらい。

 あのましまろ特有のライブの雰囲気、好きなんだよなー。クロマニヨンズとも違う、あのましまろのみんなで構成されるゆったりしててちょっと気の抜けた、こじんまりした雰囲気。肩の力が抜けるような、居心地のいいライブだった。なんか、真城さんはすごくマーシーのことが好きなんだろうなーと思ったし、マーシーは陽気によく喋るし、中森さんと真城さんの掛け合いが絶妙だし。伊賀くんっていうでかいウッドベースを弾く人と訛りながらおめーチャップリンみてーだな!って誰かのお父さん(だったはず)のモノマネ(ここは細かく覚えてない)を言ってたな、そういえば。だらっと喋ってホッピーを飲むマーシーがかわいかった。

 あと、ライブの最後の方で、マーシーがもう一曲やろうって言ってくれたのがすげー嬉しかったのも覚えてる。あの時めちゃくちゃ感動したもんな。ぐだぐだな物販紹介も、ましまろのみんなのエピソードも、全部笑いながら聞いてた。そこにいるみんな、嬉しそうに普段はまたねーしか言わないマーシーを見てた気がするよ。いや、またねしか言わないマーシーももちろん大好きだけど。いろんなことを喋るマーシーも大好きなんだよ。

 トイレタイムとかあった、そういや。トイレ行ったりおかわりしてきていいよ、とか言って、ましまろのみんながジャズっぽい曲を延々演奏してるという。むしろ勿体無くてトイレ行けなかった。本当は行きたかったのに我慢してたのを思い出して笑う。曲の合間には、三時間車でしりとりしてて、最後まで元気だったのはマーシーだけだったとか、次のライブの衣装はマーシーのコカコーラバイト時代のつなぎだねとか、そういう話をしてたな。本当覚えてるな、このへん。あと仙台に絡めて謎かけとかやってた記憶がある。仙台とかけましてエルビスプレスリーとときます、その心は ハウンドドックが有名です。みたいなネタ。ビートルズの映画見たー?と客席から振られて、見たよー、大音量のビートルズかっこよかったよー、みたいにおしゃべりしてたりとかね。もっかい行きたくなる。

 やっぱりかけがえのない時間だったと、何気なくずっと思う。月日が経っても、色濃いまま残ってる。秋の始まりくらいのましまろは心地よくて楽しくて、忘れられない。涙の乗車券をやった夜、聴きながら帰ったのも、家に帰ってからボ・ガンボスの魚ごっこを聴いたりしたのも。夏の終わりにはましまろがよく似合うよなー。

愛しのアイリーンを見た

以下感想です。が、ネタバレ普通にあります、注意です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 正直、じわじわ効いてくるボディーブローみたいな映画だったような気がしている。確実に心を殴られてた。いい映画というのが、良くも悪くも衝撃を与えてくるものだっていう意味なら、これは間違いなく良い映画だったと思う。個人的にはすごいショックをもらえた映画だった。見終わって映画館を出た時、うまく言えないんだけど、とにかくもう訳が分からなかったし、帰り道の光景がちょっと違って見えた。

 安田さんのインタビューで、岩男に対して愛しいって言ってたのを見てる最中に思い出して、え、なんで?って正直思った。けど、エンドロールで奇妙礼太郎さんの水面の輪舞曲を聴きながら思ったのは、ああ、岩男が愛おしいな、ってことだった。いやもう、なんで愛おしいんだろう?あんな男がなんで?いや、まじで。とにもかくにも人間臭いし。悪い意味で。性欲の塊みたいだったし、女の子のパンツ見て欲情してオナニーしてるし、アイリーンにお金思いっきり投げつけておまんこさせろとか言ってるし、どうしようもねーなって思って見てたのに、最後に思ったのは確かに愛おしいって感覚だった。あー、まじでどうしようもない。

 だれもかしこも普通じゃなかった。普通って言うとわかんないんだけど、誰もかしこもどこかが歪んでた。幸せになりたいとか、幸せになってほしいって思ってるだけなのに、誰も幸せになれなかった。だから、後味は最高に良くない。でも、誰もこうなりたい訳じゃなかった。こうしてやろうと思ってたわけでもなかった。狂気的なほど息子を愛してた母親、家族のために嫁いだアイリーン、幸せにしたかったはずなのに性欲にのまれてたような岩男。この中のみんな折り合いを付けることができなかったし、しょうがないって思えなくて我儘だった。

 これを見てて、ショックだったのは、岩男と女の人とのシーンだった。これは、安田さん自身が岩男と重なるところがあってキャスティングされたって話を聞いてたってのも理由としてあるんだろうけど。性欲にどんどん飲まれてく様を見てるのがなんか、辛かった。けして夢女子的な意味じゃなくて、アイリーンにお金投げつけて迫ってたりとか、相手が眠ってるところでオナニーしてたりとか、トイレで吉岡さんに迫ったりとか、もう本当、欲望しかないような様を見たのが、個人的にはショックだった。一度はアイリーンを愛しく思ってる一面を垣間見たりなんかしたもんだから、それが余計に効いた。でもきっかけは明らかに塩崎を埋めた後だったから、今思うと恐怖を欲望で塗りつぶしてたんだろうか。

 見てる最中、ずっとなんでこんなにうまくいかないんだろうって思ってた。幸せになれそうなところが何度かあったから、余計に。このまま岩男とアイリーンが愛し合えるんじゃないかとも思った。アイリーンがあなたを守るって言った時、この二人は愛し合って生きていくのかなーと思ったりもした。そんで、やっとここでそうなれるのかと思うと泣けた。けど、その幸せな幻想は崩れていくばっかりで、確実なヒビの音がどこだかわからないまま、どんどん腐っていくみたいに壊れていった。その原因は思い出してみればたくさんあって、どれがきっかけなのかわからない。もしかしたら、全部だったかも。猟銃で打ったシーンからだって思う人もいるかもしれないけど、でも、その前からもう崩れてた。けど、岩男が木にアイリーンって彫ってたところから見えたのは、不器用すぎたけど岩男は確かにアイリーンを思ってたってことだった。

 この映画は愛の物語だった。人間の汚いところばっかり見える、血みどろで人間臭い愛の話。恋が愛になるんじゃなくて、ただひたすらに愛ってなんなんだ?っていう生々しい話。誰かに見てほしいんだけど、見てほしいってオススメはあんまりしたくない。この話は救いにはならないかもしれないけど、でも確実に見る前と見た後では愛の重量が変わる気がする。愛ってなんなんだろう?っていうのに、なにか一つの在り方を知った気がします。

 安田さんの代表作になるかなあ。でもこれを安田さんに重ねると、ちょっとショックになるかもしんない。でもこの映画は、安田さんの熱量ある演技じゃないと成り立たなかった、と思う。安田さんが岩男になったからこそここまで強烈だった。つーか、この物語の役者さんみんなその人たちになってた。だからこその強烈なインパクトだった。

 岩男のような部分を、確かにみんな持ってる。うまく隠したりコントロールしてるだけで。やっぱり誰もかしこも持つ嫌な部分と相対する映画だからこそ、見てて辛かったのかもしれないです。